このページはまだ未完成です。時間があるときにもう少しきちんとした形でまとめようと思っています。

Voynich Manuscript の解読を名乗り出た人々
 

1931年

Dr. Leonell C. Strong (レオネル・C・ストロング)
癌の専門医が部分的に解読に成功したと名乗り出た。
イングランドの植物学者 Anthony Ascham (アンソニー・アスカム)の著書であるとし、彼はこれに基づいて避妊薬の処方箋も公表した。これは明らかに効能が認められた。しかし彼は解読のプロセスを説明しなかったため世間には受け入れられることはなかった。

データ不足のため今のところ詳しいことは書けないが
そのほかにも
Feely
Brumbaugh
そして前にも紹介してある
Levitov
という人々が解読したと名乗りを上げたが今のところ広く受け入れられてはいないし、その信憑性もかなり低い。つまりまだ Voynich Manuscript は世界で最もミステリアスな写本(The most mysterious manuscript in the world)であり続けている。

William Friedman (ウィリアム・フリードマン)
彼が専門家のグループを組織して Voynich Manuscript の解読に取り組んだことは前にも紹介した。ここではその未完成のまま終わった研究を少し紹介する。
彼は Voynich Manuscript が基本的に他の暗号とは異質だと指摘する。一般的に、暗号の作成者は、記号の反復を可能なかぎり少なくして、解読者の目先をかわそうとする。暗号には作成者と解読者の一騎討ちという一面がある。解読されるとすれば、たいていは反復部分からだ(たとえば、三文字の反復があれば、英語ではまず間違いなく接続詞の and または定冠詞の the に相当する)。しかし Voynich Manuscript には普通の文章と比較しても反復部分がはるかに多い。意図的に暗号を作成した気配が見えない。(途中一部省略)その内容を隠蔽する切実な理由があり、現代の暗号の専門家まで首をひねるほどの手数をわざわざその文章に加えた。(一部略)二十世紀のように腕達者な暗号破りがごろごろいたとは考えられない...
−コリン・ウィルソン 『世界不思議百科』より引用

このような理由からウィリアム・フリードマンは Voynich Manuscript は人工言語ではないか指摘している。近代においては Lojban や Esperanto の様に人工的に作られた言語が存在していることは皆さんも御承知のことと思う。

Voynich Manuscript の書かれた言語については様々な説が現在なされている。

オーパーツであることには間違いないが、地球外の知的な存在によってもたらされたという説は唱えられているが、誰も信じないであろうし、まじめな議論ではない。


ヴォイニッチ手稿の言語学の側面からの考察


このページは僕が大学で受けた論理学の授業のノートをまとめて許可を得て載せたものです。
 
 
  自然言語
 
人工言語
(例:エスペラント)
人工言語
(例:論理学の言語、プログラミング言語)
語彙 常に変動 その中間 固定
構文規則 明示的には与えられてはいない。 その中間 明示的に与えられている。
文法的適格性 程度問題 その中間 程度問題ではない。

日本語はもちろん自然言語である。
日本語の文。五十音…音素
      ひらがな・カタカナ・漢字…文字
日本語の単語…語彙(常に変化している。)

まず並んだ文字の列が、文であるとはどのようなことか考えてみよう。

ももけら もころけは もけやらで
 もやのかまさけ もれもけりけり

上の文章は初めて見る人にとっては、何のことか分からない文字列の羅列のようであるが、きちんと意味のある文である。(知りたい人は自分で読んでいただければよいのだが、まあパロディーです。)

次に文法的適格性。これは自然言語については程度問題であることが分かる。

京都にはおおぜいの外人がある。
私はラーメンを召し上がります。

上の文は日本人から見れば違和感のある文であるが、日本語を学び始めた外国人の人たちはよく犯す誤りであり、我々に通じないことはない。

毛深い夜が遠い夏を夢見る。

上の文は文法的にはおそらく間違ってはいないだろうが、どこか私たちに違和感を与える文である。詩の一部分で、比喩的効果をねらったものならば、納得はいくのだが。

さらに日本語には曖昧な点が他の言語よりも多い。

怖い学校の先生の子供が来た。

一体怖いものは何であるのだろうか。
 

というわけで、ヴォイニッチは一体どのレベルに属す言語なのであろうか?
僕の調べた限り、失われた古代語ではない。しかしどうやらアルファベット体系を持っているようだ。
文法規則は?これについては素人でも何らかの文字列を規定している法則がありそうだとわかる。具体的にはページの始まりの文字はほとんど同じ文字で始まる。
やはり一番近い感じは「ももけら もころけは もけやらで もやのかまさけ もれもけりけり」であるが、これも質が違う。ヴォイニッチは何かの呪文・お経を記したものなのであろうか?それとも単なるランダムな文字列?William Friedman はそれを暗号ではなく特殊な人工言語とした。暗号であろうと人工言語であろうといったい何のために?分からない。

最後に

ラルフ・アブラハム (Ralph Abraham) はヴォイニッチ手稿に筆記されたものは早期バラモン教の数字体系に似ていることを指摘した。彼はこれがコード化した数字を連続して並べたものであり、これを使い文章をさらに暗号化するのに使ったものであろうと指摘した。


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