ヴォイニッチ手稿(Voynich Manuscript)とは何?

この書物は「The Most Mysterious Manuscript in the World」とも呼ばれている、世界で最もミステリアスな書物である。表紙やいくつかのページは紛失しているが、およそ230ページからなる古文書である。見たこともない不思議なアルファベットで書かれていて、さらに不思議な植物の絵も描かれている。ヴォイニッチ手稿とは発見者Wilfrid M. Voynichにちなんで名付けられた。彼は1912年イタリアのモンドラゴーネ寺院でそれを発見したといわれている。 その作者、年代、たどってきた歴史ははっきりしていないが、14〜16世紀に作られたと考えられている。間接的な証拠からおそらくジョン・ディーやルドルフ2世も一時所有していたであろう。Wilfrid M. Voynich死後、古書商ハンス・クラウスの手に渡り、彼は1960年に16万ドルで売り出すも買い手はつかず、1969年イェール大学ベイニック図書館に寄贈された。

何がミステリアスなの?

何一つ確かな証拠が見つかっていないからです。誰が書いたのか、いつ書かれたのか、何が書いてあるのか、何語で書かれているのか。 そしておそらくは2人以上の異なった人物によって、しかも異なった言語を用いて書かれているということも更なる不思議です。しかも文字には間違って書かれそれを修正された跡(間違った文字を消した、──を引いて消したなど)が全く見られません。2, 3の植物を除き、描かれている絵は空想上の植物だと考えられています。

現在はどこにあるの?

今はエール大学付属のベイニッケ図書館 (Beinecke Library) にあって、そこで見ることができる。(注意して欲しいのは、イェール大学付属の図書館ではなくて、ベイニッケライブラリーという別の中世の古文書など希少本を集めた図書館の方にあるということです。)

今までで解読されたことはあるの?

ありません。今までにもいくつかの解読を主張する論文が出されましたが、どれも広くは受け入れられていません。今でも何語で書かれているのか、暗号なのか、人工言語なのか、自然言語なのか、それすらも分かっていない状況です。現在でもその解読へ向けて世界中の研究者達が盛んに研究しています。AT&T社や、イギリスバーミンガム大学などです。身近なところではヴォイニッチマニュスクリプトに関するメーリングリストもありますが、今はそんなに活発ではありません。

どこでコピーを手に入れられるの?

コピーはイェール大学のベイニック図書館に申請すれば比較的容易に入手することができます。白黒のマイクロフィルムはすでにネガが出来上がっていて$40ですが、カラーで欲しい場合は新たにオプションで撮影を依頼するため、もし全ページを頼むと$1,350になるそうです。(カラーコピーを作った方がいらしたら是非見せて下さい。)費用は小切手かカードで支払います。(VISAかMASTERカードが使えます。)興味がある方は自分で問い合わせて下さい。その際書類が送られてきて、個人使用以外の禁止に同意しなければいけません。そのおかげでページでは写真が使えません。イェールに渡る以前のコピーや、イェールが制限を付ける以前に撮った写真は一部公開されていますが、すべてを見ることはできないようです。

なお現在アメリカのある出版社、その他にも様々なルートからYale大学とヴォイニッチ手稿のCD ROM化に関して交渉中です。イェール大学は1998年にヴォイニッチ手稿に対する著作権を放棄しましたので、あとは商業的に成功する見通しさえ立てば、数年内に完全なるカラーで出版されると思います。

イェール大学ベイニック図書館は2004年にヴォイニッチ手稿のデジタルカメラ撮影した、詳細なカラー画像を公開しました。(無料)

追加:イェールに渡る以前のコピーの存在は確かに知られています。そこで幾度かその入手を試みましたが、どれも成功しませんでした。(数ページ分だけある人からコピーのコピーをいただきましたが。)そこにもいろいろと厄介な問題があるようです。

  1. そのコピーを配布した人が自分の存在を明らかにしたがっていない。
  2. コピー自体にはイェールの制限はなく配布しても問題はないらしいのだが、そのコピーをスキャンした人物は所有者ではない。(所有者に無断でスキャン?)
  3. そのコピーを配布した人物は、スキャンした人物と別人である。
  4. その人物はもはや2度と配布する計画はない。
  5. そのコピーはイェールのものより(一部)高品質である。
  6. 所有者らしきところに僕が問い合わせたら、持っていないと言われ、その後返事が途絶えた。
全く謎が多いです。もうイェール以外からの入手は困難でしょう。


Back