Voynich Manuscriptは何が書かれている、どのような書物なのか?

この問題を解決するため、学者からアマチュアまで100年間、テキストをアルファベットに移し替え、統計解析を行い、さまざまな仮説を立ててきました。

統計解析からは:
ということが明らかになっていますが、これらの特徴をすべて説明できる文章がなかなか見つかりませんでした。これが判れば、解読にまた一歩近づくことになります。


こういうこと?


Voynich Manuscriptはデタラメなのか、意味があるのか?

ここではランダムに偶然f82vを選んでみた。典型的な挿絵、挿絵のラベル、本文のあるページである。

確かに、ラベルで使われている単語が本文中にも4箇所登場し、関係があるならばデタラメではなさそうである。しかし、複雑な単語は出現していないので、簡単な単語が偶然出現しただけとも言える。
ラベルと絵を組み合わせると、1と2のラベルに対応する絵は存在しない。1については全ページ中出現はここだけである。そう考えると、空きスペースに適当に書き込んでいるだけの可能性もある。

意味があると仮定してもおかしいし、
意味がないと仮定してもおかしい、
そんな性質を持ち合わせているのがこの手稿なのである。



仮説1:Voynich Manuscriptはデタラメである

その可能性は高いと思う。この仮説の最大の難しさは、デタラメに文章を書いたにしては、意味のある文章の統計的分布に近いということである。


仮説2:Voynich Manuscriptは異星人の文字である

地球のものではない文字、文章の性質、人類最高の頭脳を結集しても解読不能、デタラメか意味があるのかすら分からないことを考慮すると、異星人の文字の可能性すら含まれる。

参考に、異星人の文字を紹介しておく。(Roswellクラッシュで回収された金属片上の象形文字)




イーブ語(惑星セルポ=レクチル座ゼータ)


仮説3:Voynich Manuscriptは魔法やまじないの呪文書である

なぜこの結論にたどり着いたか順を追って説明していきます。

1. まじないについて

日本でもさすがに現代では実践されることは少なくなったと思いますが、江戸時代なんかは盛んだったでしょう。これらは仏教や民間信仰と結びついて、病気治癒や恋愛成就、呪いまでさまざまあったと思います。クワバラクワバラなんてつぶやいて雷を避けるのも、呪文の一種ですね。

このように、日本語と文字の組み合わせで書かれていますが、専門家でないとなかなか意味が分かりません。

2. 中世ヨーロッパのまじないについて
どの世界にも民間信仰としておまじないはあるようです。ヨーロッパのおまじないは基本はこれとキリスト教の混合に基いています。しかしカトリックはまじない・祈祷は異端として禁止していましたので、異端弾圧の強かったヨーロッパの南側よりも、ヨーロッパの北で資料が多く残されているようです。

大英博物館所蔵、Harley MS 4346で、内容は医学書、ラテン語で、薬の処方とまじないが記されている部分です。
この+記号が重要だから覚えておきましょう。おまじないを唱えるごとに十字を切っています。


Zurich, Zentral Bibliothek, MS C 101
放浪の修道士Gall Kemli(1481年死亡)が、ラテン語とドイツ語で書かれたさまざまな文章、薬草の配合、礼拝での歌、悪魔退治、筆写の仕方、呪文などを集めたと書かれています。91rの呪文部分です。同じように各呪文の後に+で十字を切っています。


3.Voynich Manuscript中のまじない

では、Voynich Manuscriptのどの部分にまじないが書かれているのだろうか?それが最終ページ、116vの有名なmichiton oladabasである。
なぜこの部分が呪文であるか?それは上の2例と同じく、各単語の間に+の十字架が切られているからだ。



Zurich, Zentral Bibliothek, MS C 101とVoynich MSとの類似性

MS C 101 Voynich MS
1. 魚
(f9v)

2. 月の顔

(14v)

3. ボウガン

(f9v)

4. 天びん

(f12v)



(93r)

もちろん、ヴォイニッチ文字が使われている!とかではなくて、
ラテン語省略文字からヴォイニッチ文字が作られた可能性はあります。






ラテン語アルファベット省略記号⇔ヴォイニッチアルファベットの変換の可能性

私はラテン語は全然ダメなので、明らかな名詞を使って説明します。

ラテン語アルファベット ヴォイニッチアルファベット
水星

<ch> = er
<y> = us
土星
<s> = r
<y> = us


<iii> = un
金星

<iee>=nu





結論

この最終ページの欄外の書き込みは、ラテン語で書かれた判読が難しいテキストである。
各下線を引いた文字を見てみると、a8, 08, ca8やcc, cccやix, ...ix, .....ix, vixのように似た文字が繰り返されている。似たような音の繰り返しこそ呪文の特徴であり(例:アブラ カタブラ)、そして最後に聖人の名前(マリア)が叫ばれる。
このよく似た単語の繰り返しは、ヴォイニッチ本文の繰り返しとよく似ていると私は思う。


さらに、<aror sheey>だけが突然挿入されるのは、この筆記者がヴォイニッチアルファベットと通常のアルファベットの両方を使用できることを示唆している。
つまり、ヴォイニッチ⇔ラテン語の呪文は相互書き換えが可能であると推測できる。


さて、以上はすべて仮説であるが、ヴォイニッチ手稿に書かれているのが「呪文」であると考えると、このページの最初で書いた前提を一番よく説明できると私は考えている。


参考文献: